あの日から、純真無垢な福ちゃんは、仕事が嫌になっていました。
バーコード親爺やオババそれにアマちゃんの、顔を見るのも嫌になっていたんです。
ある日のこと…

いつものように、いつもの公園で小鈴ちゃんが、死んだようにベンチに横たわっていました。
「小鈴ちゃん…  小鈴ちゃん… 」 返事がありません。酔いつぶれているのです。
「しょうがないなぁ… 小鈴ちゃん… こんなとこで寝てちゃダメだ、帰ろうよ」
そう言いながら、福ちゃんは小鈴ちゃんを背負い、アパートまで送りました。
「着いたよ、小鈴ちゃん。カギ開けるからネ」
小鈴ちゃんのバッグから鍵を取り出し、初めて部屋の中へ入りました。
とりあえず、ベッドへ小鈴ちゃんを寝かせ、ぐるりと部屋の中を見渡してビックリ。
部屋の中は散らかり放題。これが女の子の部屋かと思うほど。
福ちゃんは思いました。「小鈴ちゃん、こんな生活してていいのかなぁ…」
「う〜ん… あー よく寝た… 」小鈴ちゃんが、目を覚ましました。
「あれっ! 福ちゃん… どうしたの?」
「あっ、やっと目を覚ましたな。小鈴ちゃん、公園で寝てたから背負って来たんだゾ」
「うっそー、えー ホントー? ありがとう。 寝てたんだ あたし…」
「ねえ小鈴ちゃん、こんな生活してていいの? しっかりしなきゃぁ」
「う〜ん、まずいとこ見られちゃったなぁ…」
その時、福ちゃんは思わずつぶやいてしまいました。
「ボク、小鈴ちゃんを守ってあげたいなぁ…」
「えっ!!…」 小鈴ちゃんは福ちゃんを、見上げました。

長い沈黙が、続きました。

「ボク、小鈴ちゃんを守ってあげる!!」…